税理士の経営・財産・相続トピックスVol.069「怒りのツィート」
20代から30代前半はカナダ、アメリカで駐在し、北米・中国・等々、国際課税の畑で働いておりましたので、米国にも中国にも大変に親しみがあり、各国における税に関する記事が出るたびになぜか気になります。
トランプ大統領が「関税を上げるのだ」とツイッターで絶叫すると、途端に数百億ドル、数千億ドルという資金が市場をかき乱して大騒ぎです。
一言で市場が大騒ぎになるのですから、市場は進化したのか、退化したのか、感情的である意味人間らしい動きをしていて面白いものです。
世間では、市場が大喜びするようなツイートを期待しますからいい加減なものです。
さて、大統領の雄叫びとは関係なく、国際課税にも変化があります。
国家間の経済的喧嘩の武器になっている関税は、物が動くことに課税されます。物が国境を渡る時の税金です。
歴史的にはおそらく何千年も前からでしょう、江戸時代の日本国内にも関所で扱われています。
日本では欧州等からの自動車の輸入に関税をかけていません。
ベンツやアウディの関税はゼロです。ベンツやBMWなどの高級外車は関税ゼロで売れるのですね。
一方で、国によっては日本車の輸入には関税をかけていますので、かなり割高で販売されています。それでも日本車は全世界で売れるのです。
日本車は世界市場では不利な関税を課され、自国では他国車の関税をゼロに。
自動車市場では、日本人の生真面目な気質と機能や品質による圧倒的な競争力を感じます。
どうにもならない外国の「税」を超越して元気に勝負している日本車の姿は誇らしいものです。
しかし、今は「物」ではなく「デジタル」が国境を越えて世界中を飛び回っています。
しかも複雑怪奇にGAFAが仕掛け、国家間の喧嘩の武器になっていた「物」への関税から、デジタル課税にグレードアップします。
これも超越してビジネスで勝たなければなりません、日本はデジタルでは蚊帳の外なので残念ですが。
BEPSプロジェクトが進み、国際課税が目に見えて強化されています。海外の資産をお持ちの方は海外の課税と、国内の課税にご用心!
2019年6月1日
日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二
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事業・国際税務
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